【業界を知る】物流をもっと詳しく!~荷役の仕事~
荷役(にやく)作業とは、物流関係の中核を担う仕事です。輸送車両からの積み下ろしや、倉庫への格納、目的地への出荷など、物流のあらゆる部分に関わっています。「荷役作業とは?」という基礎的な部分から、荷役作業の流れ、事故事例、安全対策の具体例などをご紹介していきます。
1.荷役作業とは?使用機械や関係資格について
荷役作業とは、物流の過程で発生するモノの積み込み・荷卸し・出入庫などに関わるタスクのことです。例えば、次の作業があげられます。
- 船荷の積み込み・積み下ろし
- トラックや航空機への貨物積み込み・積み降ろし・積付け
- 倉庫・コンテナヤードでの入出庫・棚卸し作業
- ピッキング作業(伝票や指示書にもとづいてモノを取り出す作業)
- 出荷先や品種別での荷物仕分け
- その他荷物やパレットの移動・運搬・積付けなど
以下では荷役作業に用いられる機械や資格についてご紹介します。
(1)荷役作業で用いられる機械
荷役作業で用いられる機械やロボットは「マテリアルハンドリング機器(マテハン機器)」と呼ばれる、搬送や保管、出荷などのサポートに特化したものが大多数を占めます。具体的には次の機器です。
荷役作業で用いられる機器 |
概要 |
フォークリフト |
前方に付いたツメを貨物の下部やパレットに差し込み、持ち上げ・運搬・積み込みを行う車両 |
コンベア |
稼働するベルトやローラーの上に物を流すことで、人の手を使わず連続的に搬送できる装置 |
移動ラック・自動倉庫など | システムによってラック・パレットを動かしたり収納記録を残したりなど、入出庫に関する作業を効率化させる装置 |
ピッキングシステム |
ピッキングを補助する機械 |
クレーン |
重量物や巨大な積荷などを吊り上げて運ぶ機械 |
人力のイメージが強い荷役作業ですが、2020年にはAIやIoTの技術を搭載したさまざまな機械が、物流業界の第一線で活躍中です。
(2)荷役作業系の資格
荷役作業をするうえで必要、またはあったほうが良い専門資格があります。
➀船内荷役作業主任者
船内荷役作業主任者とは、船舶に関係する荷役作業に従事できる資格です。船舶からの荷卸しや、船舶への積み込み、船舶内において荷を移動させる作業、荷役作業の指揮・点検・監視などに従事できます。
原則として、500トン以上の船舶への積み込み・積み降ろし・船舶内での荷物の移動を行うには、この船内荷役作業主任者を選出しなければなりません。取得条件は次の通りです。
- 揚貨装置・クレーン・移動式クレーン・デリック運転手の免許を取得後4年以上の実務経験を積んだ人
- 湾岸労災防止協会が主催の技能講習を受講し修了試験に合格した人
②はい作業主任者
はい作業主任者とは、袋や箱などの荷物を規則正しく積み上げたり、積みあがった荷物を崩したりする「はい作業」の指揮・管理に従事できるようになる資格です。
労働安全衛生法執行例の第6条12では「高さが2メートル以上のはいの付け・崩しには講習を終えた作業先任者を専任すべき」と記載があります。この作業主任者を担えるのははい作業主任者です。取得条件は次の通りです。
- はい付け・はい崩しの作業に3年以上従事した人
- 2日間の学科講習を修了した人
③フォークリフト免許
フォークリフト免許を取得する場合、最大積載量が1トン以上か1トン未満かで取得条件が変わってきます。
- 学科講習・技能講習のそれぞれの受講と修了試験合格
- 1トン未満のフォークリフトは運転特別教育のみの受講で運転可
2.荷役作業の主な流れ
輸送機器からの荷物を降ろすところから出庫までの一連の活動が荷役作業です。以下では作業内容を流れの通りにご紹介します。
(1)積み降ろし
積み降ろしとは、トラックや貨物列車、船舶、航空機などの輸送機器から荷物を降ろす作業です。大型の荷物は、フォークリフトやクレーンなどの機械を用いるため、対応する機械の運転免許が必要です。
ちなみに、コンテナに貨物を積み込む作業を「バンニング」、コンテナから貨物を取り出す作業を「デバンニング」と呼びます。海外からの輸入や国内からの輸出を行う際にはコンテナを用いるため、船舶の積み込みや、通関のときの検査でバンニング・デバンニングを行います。
(2)運搬
運搬とは、建物の敷地やコンテナヤードなどにて荷物を運んだり移動させたりする作業のことです。人力や台車、フォークリフト、その他運搬機など、さまざまな方法があります。
(3)積付け
積付けとは、ある空間やパレットなどに荷物を積み上げる作業のことです。移動による荷崩れや、過剰な積み上げによる荷物つぶれなどを考慮して実施しなければなりません。パレットに荷物を積み付けることを「パレタイズ」、パレタイズを行う機械のことを「パレタイザ」と呼びます。
(4)入庫
入庫とは、倉庫やコンテナヤード、物流センターなどに荷物を格納し保管する作業のことです。入庫時には荷物の種類や数量、傷などをチェックする検品作業を行います。
検品終了後は「いつ入庫したか」「いつ出庫するか」「品質はどうか」などのデータをまとめ、しっかり在庫管理しながら保管します。たとえば食品関係の原料・製品の場合は、消費期限や品質の関係から、慎重に管理する必要があります。
(5)ピッキング
ピッキングとは、保管されている荷物を出荷指示書や、その他のデータを参照しながら、必要な数だけ取り出す(Pickする)作業です。人員を割いて作業したり、ピッキングシステム等のサポート用の機器を使ったりしながら、誤りがないよう正確に進めなければなりません。発送先や品種別で取り出す方法を「摘み取り方式(シングルピッキング)」、一度大量に取り出してから他の場所で仕分ける「種蒔き方式(トータルピッキング)」と呼びます。
(6)仕分け
仕分けとは、ピッキングで取り出した荷物を出荷先や品種別、積み込む車両別に細かく分けていく作業です。近年ではIoT技術でサポートできるようにもなってきました。
(7)出庫
ピッキング・仕分け工程を経て分けられた荷物を、実際に出荷する作業のことです。「何を出庫するのか」「在庫の数は合っているか」等をチェックする検品の作業も行います。出庫時には荷物の梱包作業によって荷物崩れや傷を防ぎ、品質を保ちながら取引先や消費者の届けることが可能です。
いかがでしたでしょうか?今回は「荷役」の仕事にスポットを当て、より詳しくご紹介いたしました!他の記事でも別の職種ももっと深堀していきますのでどうぞお楽しみに!
この記事を書いた人
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